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第79話 この家で生きていくため

last update publish date: 2026-05-24 07:37:45

すると、黒瀬は何かが切り替わったかのように「本当にお優しいですね」と目元を緩めた。

そして俺を愛おしそうに抱き上げ、耳元で毒を吐く。

『これで分かりましたか? また使用人を誘惑すれば、あなたの目の前で彼らを裏の崖から突き飛ばします』

『ごめんなさい、もうしない。もう絶対にしないから……』

泣きながら頷く俺に、黒瀬は「知らない男に組み敷かれて、怖かったでしょう?」と甘く囁く。

『そ、宗佑……』

『さぁ、風呂場で身体を綺麗にしましょうね。セックスはそれまでお預けです』

それは決して慰めなどではなく、俺の魂に絶望を塗り重ねるための呪文だった。

***

「ただいま帰りました、美森様」

ドアが開く。

制服姿の黒瀬に対し、シャツ一枚しか与えられていない俺は、シーツの上で、教え込まれた通りの表情を作って答えた。

「……おかえり、宗佑」

頬を緩め、愛らしく見えるように微笑んでみせる。

それを見て黒瀬は満足げに目を細めた。

「……寂しかった、ギュッてして」

心にもない甘い声を出すのは、俺がこの数日で学んだ唯一の処世術だった。

黒瀬の機嫌を損ねれば、食事は止められ、手痛い「躾」と
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